⒈癌は死なない病気になる日が来る
国民に二人に一人がかかると言われるガンは、近い将来治る病気になるのでしょうか?
日本ではガンにかかった人の5年生存率が65%近くというデータが報告されていますが、反面治らないで亡くなる人もかなりの数に上り、画期的な治療法の開発が待望されています。
現在、そう遠くない将来にほとんどのガンは治る時代が到来すると予測されています。
ノーベル賞を受賞した京都大学の本所教授も、癌は死なない病気になる日が来ると断言しているほどです。
それは画期的な治療法が開発されつつあるからです。
現在三大療法と呼ばれている治療法に手術、抗がん剤、放射線治療がありますが、いずれも副作用が強いので、患者さんは大きな負担を強いられます。
また、治癒率も進行具合や部位によって大きな差があるのが実情です。
最近、アメリカで目覚ましい治療成績をあげている治療法があります。
⒉米国で実績をあげている光免疫療法
それは光免疫療法と呼ばれ、2015年から治験が始まりました。
その結果、アメリカでは15人の患者のうち14人のガンが縮小し、さらにはそのうち7人は腫瘍そのものが消えたと言われています。
光免疫療法では特殊な誘導体を化学物質に結合させた抗体を、患者さんの体内に静脈注射します。
この抗体は多くのガン細胞と結合する性質があるので、そこを狙って「近赤外線」を照射します。
すると患部は化学反応を起こし、細胞の膜がふくらみ、破裂して破壊されるという仕組みです。
光免疫療法は細胞にダメージを与えずに組織を通過するために副作用もほとんどないのが特徴です。
あらゆる部位に治療が可能な上に転移した悪性細胞にも治療が可能とされています。
この治療法には以前の治療法よりコストも安くなる可能性が高いという大きなメリットもあります。
⒊免疫療法とは
また、他にも有効な治療法が注目されています。
それは免疫療法です。
人体はもともと異物が体内に侵入しようとすると排除する力を持っています。
この力は免疫と呼ばれていますが、免疫をくぐり抜け増殖する悪性新生物が侵入することがあり、そうした悪性な細胞によって免疫力は弱まってしまいます。
こうした弱体化した免疫力を再度復活させ、増殖した悪性な細胞と戦えるようにするのが免疫療法の仕組みです。
免疫療法にはワクチン療法やサイトカイン療法などいくつかの種類があります。
これらは比較的副作用が少ないのが特徴です。
手術や抗癌剤、放射線治療などの治療だけでは思うような効果がでないこともありますが、その場合にこの免疫療法と組み合わせて治療を行うことで、高い効果が期待できることがあります。
⒋早期発見や定期的な健康診断が必要
さらには医学は日進月歩であり、今後新しい治療法が開発されることが予測され、現在治療が難しいとされている難治ガンも、近い将来治る病気になることは十分考えられます。
しかし、その前に早期発見や定期的な健康診断が必要なことはいうまでもありません。
アメリカでは健康診断の受診率が9割近くとかなり高い数字ですが、日本では3割近くと少ないのが現状です。
アメリカでは癌によって亡くなる人の数は減少しつつあります。
それは国をあげて検診を受けるような取り組みがなされているからです。
日本も癌によって亡くなる人が少しでも少なくなるように、健康診断を受ける人が増えることが望まれます。
早く発見して治療すれば、95%の癌が完治するとも言われています。
日本には高度な医療技術がありますが、どれだけ素晴らしい医療技術が開発されても、早期発見や早期治療ができないと、完治は難しくなります。
先進国の中でがんで亡くなる人が増え続けているのは日本だけだとも言われています。
日本は長寿国として知られていますが、癌が治る病気になれば、平均寿命もさらに上がることが期待できます。